| 「亜細亜くいだおれ」 January 5,1999 | |||
| 旧正月には精進煮込み | |||
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西暦の新年が明けると、そろそろ香港も正月の準備に入る。1999年の旧正月元日は2月16日だ。香港はこれから年末商戦に入る。大きめの買い物なら、2月に入ってからがおすすめだ。 大晦日(今年は2月15日)は、街市(がいしい=市場)に食料品をまとめ買いする客があふれ、店はどこも最終セールで本当の賑わいを見せる。正月に家に飾る桃や水仙、みかんの木を売る花市場も、大晦日の夜が一番の佳境だ。 当然大掃除もあるし、新年にそなえ床屋や美容室に行って髪を整えなければならないから大忙し。そしてこれら年始の準備がひと通り済むと、各家庭を守る主婦は、先祖への感謝の気持ちを表すため、紙のお金(もちろん偽物で、1億ドル札なんていうのもある!)やお供えものを祈りながら燃やし、煙にして天まで届ける儀式も待っている。 ところで、日本のおせちにあたる正月の料理は、精進料理。元日は殺生を行なわない習わしがあり、古い慣習を大切にする家庭では「齋(ちゃーい)」と呼ばれる煮込み料理を、朝・昼・晩と3回にわたって食べる。 「齋(ちゃーい)」は湯葉やシイタケなどの乾燥食材をメインに作るものが一般的だが、家庭によって使う材料の種類はさまざま。ちなみに、私が体験した家の「齋」は下記のように具だくさん。これらを砂糖と醤油で炒め煮にするのだ。 腐竹(ふーちょっ=乾燥湯葉)、木耳(もっいー=キクラゲ)、金針菜(かむんがんちょい=キンシンサイ)、粉絲(ふぁんしー=春雨)、紅棗(ほんちょう=ナツメ)、髪菜(ふぁっちょい=淡水でとれる藻で、見た目は黒いもずく。お金がもうかる「發財」と同じ発音なのでとても縁起がいい)、花生(ふぁーさん=生ピーナツ)、冬磨iどんくー=干しシイタケ)、豆腐■(たうふーぽう=油揚げ、※■は保の下に火)、百合(ぱっはっぷ=百合根)、山根(さんこん=小麦のグルテンを揚げたもの)、蓮子(りんじー=蓮の実)、サヤエンドウ、人参、銀杏など。 これだけの材料の下ごしらえは、本当に気の遠くなる作業。大量の干しシイタケの石突きをとって戻し、銀杏の殻と薄皮をむき、湯葉・春雨・髪菜を素揚げし、キクラゲやキンシンサイの固い部分をとりのぞき、サヤエンドウのすじをとり、もうとにかくやたら細かく面倒なのだ。昨年は3人がかりで夕方から夜遅くまで手伝ったが、それはもう本当に時間がかかり、みんな途中で飽きてしまったのだった。 この「齋」も元日の深夜0時に一度すこしだけ調理して、先祖をまつる神棚にお供えする。夜遅くまで起きていてどんなにお腹がすいていても、我々が口にするのは作業がすべて終わったその後だ。 また、寝る前には「緑柚葉(ろっやういっぷ)」というユズの葉のゆで汁を頭からかぶり、一年間の厄をおとすことも忘れない。初めてこれをやらされたときは、理由がよくわからず、ただただ全身が青臭くなって悲しかった思い出がある。慣れてしまえば香りも縁起もよく、たいへん気持ちのいいものなのだけれど。 大晦日に香港を訪ねる予定があるならば、街市へ行って「緑柚葉」を一束買い、ホテルのバスタブに湯を張って葉を浮かべ、厄除け風呂を堪能してみてはいかがだろう。
![]() 具だくさんの「齋(ちゃーい)」 ![]() ご先祖さまへのお供えセット
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