| 「亜細亜くいだおれ」 January 19,1999 | |||
| 妙な風車と妙な臭いと | |||
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趣味といえるほどではないが、寺社仏閣への参拝がすきだ。香港でもお気に入りの寺がいくつかあり、何かというとよくお参りに行った。そのとき、ずっと不思議でたまらないことがあった。 風車である。 香港のお寺では、やたら赤くて金ぴかの飾りが売られる。これらが、赤や金を「めでたい色」と解する派手ずきの香港人にとって、縁起のいいお飾りなのは容易に理解できる。しかしなぜそこに必ず風車があるのか、その理由がさっぱりわからない。私の目にはややその場に不似合いに見えるのだ。 日本で風車といえば、縁日で売られる子供のおもちゃ。もちろん、縁日はお寺につきものだが、香港のお寺で見る風車は、なんとなくその様相とも違うようす。そしてその謎は、香港で旧正月を迎えてようやく解明された。
車公廟は風車をまつる変わった寺で、皆の目的はここにある鋳物の風車を回すこと。ただしこの寺の風車は相当に重いので、風でからからと回るわけにはいかず、両手で「えいっ」と力を込めて回す。そして、上手にこれが回せると、新しい年は万事がうまく行くといわれている。
さて、この日は車公廟周辺は大勢の人出でものすごい混雑になる。そのため警察官がたくさんやってきて、交通整理にあたる。いつも周囲にたむろする違法屋台も、この日ばかりはほとんどがお休みだ。
この日、縁起いい風車を回した私たちは、帰りのバスに乗るため、バス停へ向かった。が、どのバス停もやはり大混雑。そこで、ひとつ前のバス停まで歩くことにした。このへんのあさましさは、どこも同じなのである。 歩いているうち、バス停を見つける前に公園で臭豆腐(ちゃうたうふー)の屋台を発見し、早速、買い食いすることにした。寺からは相当離れた場所にあるが、匂いに釣られてやってくる人々が数人並んでいた。 臭豆腐は、豆腐を塩漬けして発酵させたもの。匂いが相当に強いため、こんな名前がついたらしい。生の臭豆腐は、木綿豆腐に青かびがついたように見え、その外見も味もブルーチーズによく似ている。 その数は希少だが、一部のレストランでは蒸すか揚げるか煮込んで食べさせる。台湾の屋台では、蒸したものも売られるが、香港の屋台で食べるものは油で揚げたものだけ。大きさは5cm角ほどの正方形で、1個だいたい5香港ドル(1香港ドル=約16円)。好みで辣醤(らーちょん)という辛みそを付けて食べる。 生のままでも相当な悪臭だが、調理するとその匂いはますますパワーアップ。この香り、私のように慣れてしまうと芳香にも感じるのだが、たいていの外国人観光客にとっては(一部の香港人にとっても)悪臭以外の何ものでもないらしい。台湾の屋台街だと今も日常的に食べられているが、香港で免許を持たない小さな屋台はイリーガルで、取締まりが強化された昨今ではほとんど見かけられなくなってしまった。寂しい限りである。 臭豆腐、さすがに匂いはきついが、味にはそれほど癖がない。もし香港の街を歩いていて「妙な匂い」を感じたら、ぜひこの珍味を味わってみてほしいもの。ホント、意外においしいんですってば。
![]() 臭豆腐(ちゃうたうふー)、揚げる前と後
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