| 「亜細亜くいだおれ」 July 27,1999 | |||
| 食べられる花園 | |||
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台中からバスで約1時間。花料理を食べに埔里(ぷーりー)へ。 自然に恵まれた埔里は台湾随一のおいしい水の産地。そのため紹興酒づくりでも有名であり、日本など海外へ輸出する台湾産紹興酒はすべてこの地で作られている。また、世界的にも有数の蝶々の楽園としての横顔をもち、さらに台湾随一の花の産地でもあるのだ。 鑑賞用だけでなく、食用の花もここではごく当たり前に作られる。そしてこれらを食材として利用した料理は、観光客向けの特別な料理では決してなく、れっきとした薬膳料理のひとつなのだ。 「金都餐廳」の総経理夫人・林素貞さんによると、これらの花はもともと埔里近郊の山中に生きる先住民族「■族」(■=召へんに予。台湾語で、だたな)が「漢方薬」として役立ててきたものだそうだ。「■族」(■=召へんに予)は、霧社などの高山に生きる野生の花を、遙か昔から上手に活用して日々の生活のなかで体調を整えるために活用してきたという。 食材となる花の効能は、とても興味深かった。 ショウガの花の蕾は体内の熱気をとり、風邪の予防に普段からよく食べられる花のひとつ。精神をリラックスさせる効果もあるので、眠れないときにも最適。高麗人参の花と金銀花を合わせて煮込むと、体内の毒素が外へ排出する効果がある。 消化を助け、食欲を増進させるのは蓮の実。蓮の花は打ち身を早めに治す効能があり、蓮のガクの部分ときんもくせいの花は、咳をとめ、痰をとるのに使われるという。蒸し暑い埔里の夏を少しでも涼しく過ごすためには、体の熱をとるビンロウや菊、ジャスミンの花が活躍。金線蓮は薬草の王様といわれ、血液の循環をよくするそうだ。 今回用意してもらった夏向きメニューは、下記のように、花を使った13種類のメニューとハイビスカスの花のお茶だった。名前だけでも、まさに百花繚乱。どれも店専属の中醤師のアドバイスにより、調理方法は現代的にアレンジをしているそうだ。 ・花艶打拼皿(花とお肉の冷菜の盛り合わせ) ・炸菊花(菊の花の天ぷら) ・桂花香子排(豚スペアリブのきんもくせい煮込み) ・蓮花仙子羹(睡蓮と海鮮のスープ) ・花香酔鱒魚(ショウガの花と鱒の紹興酒蒸し) ・蝶花拼蓮酥(蓮の花のガクとショウガの花の天ぷら) ・花蟹蓮子糕(蓮の実入り蟹おこわ) ・翡翠花封肉(ブロッコリと白菜の煮込み)※ブロッコリは西蘭花といわれる。 ・参花香鶏盅(高麗人参の花と金銀花と鶏肉) ・玫瑰花香排盅(ハマナスと豚肉のスープ) ・半天花爆牛肉(ビンロウの花と牛肉の炒めもの) ・霧理看冰花(金線蓮のゼリー) ・茉莉緑茶西米露(ジャスミン茶と緑茶のタピオカ) ・洛神茶(ハイビスカス茶) 文字通り、皿の上はお花だらけ。しかし好奇心から食指はそそっても、味については見た目での判断がつきかねる。というのも、その盛り付けが独特というか前衛的というか、はっきりいえばやや大袈裟。きれいすぎるのだ。 いちばん印象的だったのが、「蓮花仙子羹」。この店の自慢のメニューである。 皿の中央に立派な睡蓮の花がぷかぷか浮き、周囲には花粉がはらりと散らばる。花も盛り付けも確かにきれいだが、私の食べ物に対する美意識からは、随分遠いところにいる気持ちがいなめない。当然花は飾りではなく、そのままぱくぱく食べて構わないという。 戸惑いながらもレードルでスープをすくうと、周囲がどろんとよどんだ。見た目通りの感触。まるで沼だ。ホウレンソウをすりおろした緑色の塊が、ふわりとやわらかく動き、それは水中を泳ぐ藻のようにも見える。スープを取り分けたレードルを皿の上にのせると、それはぶくぶくぶくと音をたてながらスープの底へ沈んでいった。 しかし、蟹や蝦、白身魚など、海鮮素材をふんだんに使って出汁をとったそのスープは、見た目の「沼加減」とはうらはらに、薄味の非常に贅沢で上品な味つけ。食べてみないとわからないものだなあと、身をもって実感したのだった。 グルメに先入観は大敵なのだ。 ※この夏、万一埔里を訪れる機会があるならば、ぜひ食べてご感想を聞かせてほしいところ。ジャスミン、きんもくせい、ショウガの花、ハマナス、高麗人参の花は、香りが強いのですき嫌いが分かれるところだが、ビンロウ、菊、蓮のガクは、香りが少なく食感も野菜に似て万人向き。ちなみにビンロウの花は私が一番気に入った食材でした。 ![]() ![]() ![]() ![]() 睡蓮の花と海鮮のスープ。別名(私が勝手に命名)沼のスープ。まんなかが睡蓮の花。摩訶不思議な見た目&食感ですが、味はごくふつーの海鮮風味。薄味で、おいしかったです。体の湿気をとり除き、血の汚れを出す効果があるとか。 天ぷら 炸菊花。菊の花の天ぷら。 菊は体の熱をとる効用があるので、夏におすすめのメニュー。 ビンロウ 半天花爆牛肉。檳榔の花と牛肉の炒めもの。 菊の花同様、体の熱をとる効果があり、夏のメニュー。シャキシャキした歯ごたえがとてもさわやか。味に癖はなく、とても食べやすい。檳榔の花はとても高い木の上に咲くため、半天花(半分天に届く花)と呼ばれるとか。 カニ 花蟹蓮子糕)。 花蟹と蓮の実の炊き込みおこわ。蓮の実には、胃の働きをよくし、消化を助ける働きがあるそーです。
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