「亜細亜くいだおれ」 September 28,1999
ちょんふぁん、ぷるぷるとふるえる

牛嶋さんのイラスト 牛嶋 直美
ウシジマ・ナオミ

からだの組成の87%がチューカでできているちゅーか。残りの13%はタイ、ベトナム、インド料理でできてるちゅーか。
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香港で飲茶といえば腸粉(ちょんふぁん)。中でも大好物は、煎腸粉(ちんちょんふぁん=焼いた腸粉)。
腸粉はお米の粉を蒸して作った白いクレープのこと。「腸」の字はつくが、決して内臓料理ではない。しっとりやわらかい見た目とその食感から、友人間ではこれを「ぷるぷる」と呼ぶ。日本人の友人にとって、どうも「腸粉」の名はあまりおいしそうでないらしい。

見た目こそ不思議な食べ物だが、作り方は簡単。ただし蒸す時間とタイミングにコツが必要で、実際作るとなるとじつは熟練の技が必要になる。ということは、簡単じゃないってことか。つまり言いたいのは「作り方を説明するのは簡単」。日本語はむずかしいな。

で、そのぷるぷるの作り方はこうだ。

お米を水に浸けておき、水ごとミキサーにかけてペースト状にする。特製の四角い蒸し器に、濡らした木綿の布を敷いてお米ペーストを流し、平べったく適当な厚さに蒸し上げる。これでシンプルな白い半透明の腸粉が出来上がり。見た目も食感も、先述通りたいへんぷるぷるしている。

通常、飲茶ではこの白いぷるぷるにエビ・牛肉・叉焼・ホタテを巻き、生抽(さんちゃう=中国醤油)とピーナツ油をかけて食べる。これがうまい。飲茶メニューにも載っているので、ぜひ一度ぷるぷる。

長くなったが、じつはここまでは前置き。勿体つけてる大好物の「煎腸粉」は、そのぷるぷるをこんがり油で焼いたものだ。

腸粉をくるんと丸めた後、両面を油でこんがり焼いて適当な長さに切る。皿に山盛りにし、上に生抽・甘味噌・芝麻醤(ゴマペースト)をかけ、白ゴマをふる。やっと完成。店によっては老抽(ろうちゃう=色が濃く塩味が薄い、料理に色を付けるための醤油)で茶色く色付けする場合もある。これがまたうまそうなんだな。

不思議なことに、先述した「牛肉腸粉」などのぷるぷるはどこのメニューにも載っているが、煎腸粉はほとんどの場合、レストランのメニューに記載されないことが多い。載ってはないが、たいていの店で注文ができる。なんかとてもあいまいな存在だ。

私が知る限り、香港人はこの煎腸粉がやたらすきだ。だけど毎日調理場で作るぷるぷるには限度があり、目の前で売り切れて暴れた経験も多い。だから飲茶へ行くと、まずぷるぷるを焼くおばさんを探し、すぐに注文する(ワゴンで点心を運ぶ店では、腸粉はシェフが作るけど、焼くのはワゴンのおばさん)。

私がいつも席にすわるなりキョロキョロするので、香港人の友人からは「恥ずかしいからガツガツしないで」と注意されることしばし。それでもやめないけど。だって外国人の私にとって飲茶一回一皿の煎腸粉はすごく大切。その店の味つけがおいしければ、追加で注文することもあたり前だ。

同じ煎腸粉でも、見た目も味もレストランによってまるで違うのだ。まず焼く前のぷるぷるの厚さや固さ。そして油の量、焼き方、最後に切る長さも店によってまちまち。私がすきなのは、薄すぎず、固すぎず、油っぽすぎず、焦げ目がしっかりついたもの。これじゃわかんないか。

最近のヒットは、XO醤(エックスオーチョン=干し貝柱をベースにした香港ならではの調味料)で味付けした煎腸粉。老抽で茶色く色付けされたタイプで、灣仔(わんちゃい)の海都で食べられる。もともと腸粉は、屋台で買い食いするおやつとして始まったと聞く。日本でいうなら駄菓子の感覚。

水で溶いたお米のペーストにネギと干し蝦を混ぜて焼き、朝ごはん代わりに食べたそうだ。海都の煎腸粉は、焦げ目はついてないし、ちょと高級な一品なのでその意味においては邪道かも。でも、おいしいものはやっぱおいしいからな。仕方ない。だからこそ、毎日のように売り切れてしまうのだろうし。

ああやばい、本当に食べたくなってきた。禁断症状出そう。ぷるぷる(ふるえてる)。そろそろ食べに行くかな。そのくらいおいしいです。ぷるぷる。


左から、潮鴻城海鮮酒家(ちうほんしんほいしんちゃうがー)の煎腸粉、好彩海鮮酒家(ほうちょいほいしんちゃうがー)の煎腸粉、海都海鮮酒家(ほいとうほいしんちゃうがー)のXO醤煎腸粉

腸粉のおいしいお店

海都海鮮酒家(ほいとうほいしんちゃうがー)
VICTORIA CITY SEAFOOD RESTAURANT

香港灣仔港灣道30号新鴻基中心二字楼
2nd Floor, SunHung Kai Centre,
30 Harbour Rd., Wanchai Hong Kong
電話 (852)827-9938
営業時間 11:00〜15:00/18:00〜23:00

香港の食いしん坊が集まる広東料理店。熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、というあたりまえのサービスが徹底。熱い料理はお皿も熱いので気をつけて(ってこれは大袈裟)。「XO醤煎腸粉」は飲茶時のみ。ただし店のメニューには載ってません。そして、毎日腸粉が売り切れたらおしまい。



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