「亜細亜くいだおれ」 December 7,1999
のーまいちー、駄菓子の世界

牛嶋さんのイラスト 牛嶋 直美
ウシジマ・ナオミ

からだの組成の87%がチューカでできているちゅーか。残りの13%はタイ、ベトナム、インド料理でできてるちゅーか。
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ほんの3、4年前まで、香港の街には小販(しうふぁん)と呼ばれる小さな屋台があちこちに出没した。買い食いマニアとしてはそれらを無視できるはずはなく、「そんなもん食べるの?」という香港人の友人のあきれ声を背に、小販を見つけるなりいつでも駈け寄って端から試すのが常だった。

そんな下町風光景は、現在ほとんど見られない。

中国への返還後、特に街の浄化と称し、違法屋台の取り締まりを強化したのがその理由。小販は、すっかり街から消えてしまった。むちゃくちゃ淋しい限り。といってもそれは郷愁では多分なく、気軽に買い食いできなくなったことを愁いているだけなんだけど。

小販で食べられるもの。「臭豆腐」(ちゃうたうふー=青カビをつけた塩漬け豆腐を揚げたもの)、「煎腸粉」(ちんちょんふぁん=ぷるぷる)、「魚丸」(ゆぃゆん=魚団子)などいろいろ。でも、私が記憶する限りその多くがじつは駄菓子だった。

「鶏蛋仔」(がいだんちゃい)は卵型カステラ、「龍髭糖」(ろんそんとん)は飴を糸状に伸ばしてピーナツとココナッツをくるんだお菓子、「糯米滋」(のーまいちー ※滋は米へん)はゴマとココナッツをまぶしたお餅、「鶏蛋巻」(がいだんぎゅん)はくるくる丸めた卵入りクレープ。どれも作るのにちょっとした技が必要で、いつまで見ていても飽きない楽しさがある。

小販が少なくなってきた頃、あちこちのショッピングモールで、こういった駄菓子の実演販売を見かけるようになった。小販がいつどこに出るか決まってなかったのと同じように、これらイベントもいつどこでやっているのか見当もつかず、思いがけない出会いに何度も胸をときめかせた。駄菓子にまで恋する私なのだ。

青衣(ちぇんいー)は新空港から香港中心地へ向かう途中の小さな島。昨年、ここに大きなショッピングモールができた。香港の昔の町並みを再現したテーマレストラン「スペシャル」が話題で、私も「一度は見たい」と遊びに行った。そして帰り道、大好きな駄菓子に再会した。

オールドマーケットはショッピングモールの一角に設けられたコーナーで、内部は古きよき時代の香港。そのなかで、昔の駄菓子や雑貨が売られている。小販で買い食いしたあの懐かしの駄菓子が、そこではいつでも食べられるようになっていた。

そんなわけで11月はじめ、再び食べてきました。大好きな「糯米滋」(のーまいちー ※滋は米へん)。温かくもちもちっとしたやわらかい食感、もうたまりません。

ここができた当初は、駄菓子コーナーを熟練の老職人店員が仕切ってたけど、先日はカラフルな中国の時代劇風衣装を身につけた若い店員が増えていた。たかが駄菓子とはいえ、伝統の継承はとてもありがたいこと。とゆーか、本音をいえば、これらをいつでも食べられるということがなによりうれしい私なのであった。駄菓子ばんざい。


これが糯米滋(のーまいちー ※滋は米へん)。熱々でやわらかいお餅に、ゴマとココナッツ、砂糖を混ぜたものをまぶしながらハサミで一口大に切る。とにかく温かいうちにすぐ食べること。冷めるとイマイチ。約20個がみっちり入って15香港ドル(約200円)。

駄菓子が買い食いできるところ

香港新界青衣城 (Old Market)

ほんの10年前まで銅鑼灣(コーズウェイベイ)にあったトラムの引込み線や、旺角(モンコック)の小鳥ストリートなど、香港の古い町並みを模した一角に屋台風店がひしめく。ほとんどが雑貨店。オススメはやっぱり「買い食い」。「龍髭糖」「鶏蛋巻」などは一風変わった作り方で、その職人技は見ているだけで楽しい。



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