「亜細亜くいだおれ」 January 4,2000
500円の佛跳墻スープ、上海で発見

牛嶋さんのイラスト 牛嶋 直美
ウシジマ・ナオミ

からだの組成の87%がチューカでできているちゅーか。残りの13%はタイ、ベトナム、インド料理でできてるちゅーか。
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「カラダにいい」といわれるものに、恥ずかしいほど弱い私である。

それは漢方でも食材でもハーブでも、ビタミンのようなタブレット状のものでもなんでも構わない。とにかく健康になりそうなものには執着する傾向がある。だから狭い狭い東京の自宅も、冷蔵庫や食材棚は謎の物体でぎっしり。旅行へ行くと、新しい「カラダにいいもの」がやたら増えるので、最近さすがにすこし自重しようかなと思い始めているところだ。

しかしどんなに反省しても、それは日々の食事にもしっかり反映される。

11月の上海旅行で見つけた「カラダにいいもの」。それはホンのすこし変わっていた。ファストフードの屋台風店舗が並ぶ、美食広場のメニューに何気なく並んでいた「佛跳墻」。香港歌手が歌う中国語のポップスが、やたら大音量で流れる広い広い美食広場。不似合いな場所で見つけた高級スープ。頭が混乱する。私の常識のなかでそれは、とても予約なしで食べられるようなシロモノではないのだ。

「佛跳墻」とは、フカヒレ、干しアワビなどをふんだんに使って煮こんだスープのこと。「匂いをかいだお坊さんが、あまりの芳香に思わず垣根を飛び越えてやってきた」といわれる珍味中の珍味。香港ではときどき、レストランの珍味フェアなどで食べられることはあったが、高級食材を使ったその料理は、さすがに高価で特別で、とても私がひとりでカンタンに食べられるようなものではなかった。

それが、目の前の店では一人前38元(約500円)。すごい。むずかしいものもカンタンに食べられる中国の懐の深さに改めて感激。やっぱこれは試さないとね。カラダにもいいことだし。

赤いその看板には材料である18種類の珍味食材の紹介が、もっともらしく記されていた。食べながらひとつひとつ確認する。しかし私が実際に数えられたのは17種類だった。

参考までに、その中身は、豚肉、鶏肉、鴨肉、貝柱、なぞの貝3種、干しシイタケ、クコの実、中国ハム、ナマコ、干しエビ、蓮の実、干しナツメ、センマイ、豚のガツ。これらがマグカップほどの小さな器に凝縮されているのだから、さすがに豪華と感心。

ただしフカヒレは「なんちゃって」モン。固いビーフンのような味わいで、歯ごたえもひどいもの。出汁はさすがに濃厚だったが、塩味がきつく、やっぱり38元程度の実力。思っていたものとは程遠く、さすがにいただけるものではなかった。でもいいの。カラダにいいからね。今年もこうしてカラダにいいものを探し、たくさん食べないと。

ところで、ミレニアム初詣は「日本橋七福神巡り」を体験した。途中で何気なく七福神おみくじを引いたら、袋のなかに「大黒天」が笑う。台所と食物を司どる神。たいへん縁起のいい元日。「今年も食い物には困らないな」と単純に喜んでいる、なによりおめでたい私であります。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。



赤い看板には、スープの効能書きがびっしり。フードコートで気軽に体験できる、「なんちゃって佛跳墻」。直径10cm足らずの器に、具がぎっしり。ファストフード風カウンターには、醤油の隣に3種類の器が普通に並ぶ。

500円佛跳墻のお店

大食代美食広場(FOOD JUNCTION)
10:00〜22:00

上海虹橋地区にある、フランス資本のショッピングモール「家楽福(carrafe)」。「佛跳墻」が食べられるフードコートは、このモールの1階奥にあります。ファストフードとしてのおすすめは地元上海の小吃モノ。見本として、ホンモノがカウンターに並んでいるので、言葉がわからなくてもほとんど問題ありません。



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