「亜細亜くいだおれ」 January 18,2000
アラン・ウォングのおいしいハワイ

牛嶋さんのイラスト 牛嶋 直美
ウシジマ・ナオミ

からだの組成の87%がチューカでできているちゅーか。残りの13%はタイ、ベトナム、インド料理でできてるちゅーか。
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アラン・ウォングは、生まれ故郷ハワイを愛する日系人シェフ。地元食材をメインに使い、アジアなど世界中の調味料を生かした新しいハワイ料理、「ハワイアン・リージョナル・キュイジーヌ」をポピュラーにした立役者のひとり。

母親が日本人で、子供の頃から醤油、味噌、ワサビなど、日本の調味料や香辛料に親しんだ。また中国系アメリカ人の父の影響から、オイスターソースや豆豉など、中国調味料の奥深さを知って育ったという。

キング・ストリートに高級レストランをオープンして成功。ここは結婚記念日や誕生日など、地元の人たちがちょっと特別なときにやってくるレストランで、毎晩予約でいっぱいだ。しかし、なにしろ高級。流行ってはいるものの、ここで食べられるのはほんの一握りのひとたちだけ。毎日行けるような値段ではとてもないのだ。

週末はコミュニティセンターなど施設へランチを無料で提供するなど、ボランティアも積極的に行っているアラン・ウォング。なにしろ地元への感謝の気持ちを常に忘れない。そのため、朝食や昼食をもっと気軽に、毎日通えるような店をと、早朝からオープンするカジュアルレストラン「パイナップル・ルーム」を作った。アラモアナセンターの、リバティハウスというデパート内の3階(山側)にある。

これがまたまた大ヒット。太陽の光が入る開放的なスペースで、毎日早朝からハワイのローカルでいっぱいだ。オープン当初は予約を受け付けず、昼食が1時間待ち(私は1時間半待った経験あり)が当たり前だった。

さらに同じリバティハウス内に、ハワイの食材を一同に集めた「ハワイアン・リージョナルキュイジーヌ・マーケットプレイス」を昨年10月にオープン。今回紹介したいのが、この店である。なにしろアラン・ウォンのレシピによる惣菜が1品数ドルで気軽に食べられるデリがあり、ハワイ産の食材がそろっているという。ううう、行かいでか。

ハワイ出張初日。早速リバティハウスへ探検に出かける。このデパートは南北に長い造り。4階へ通じるエスカレーター&入り口は南の海側で、マーケットプレイスは北の山側にある。そのため、海側から山側まで行くには、魅力的なキッチン用品が並ぶ売り場を通らなければならず、あちこち誘惑にかられて沈没。たった数十メートル進むのに、思いがけず時間がかかる。だって楽しすぎ。

ようやくたどり着いたマーケットプレイスは、思ったよりずっと広かった。そして、そのわりに商品は少ないがらんとした印象。日本独特のKIOSK風「ぎちぎち商品構成」に慣れた体には、妙にそっけなく感じてしまう。勝手に思い描いていた想像図とかけ離れているため、なんとなく肩透かし。なぜか、かつて上海のヤオハンにあった「自動車売り場」(クルマ、ピアノ、洋酒が並列で展示されて売られていた)を思い出してしまう(私はすこし大げさなので、あまり本気にとらないでください。つまりゆったりしているということ)。

「アラン・ウォンがセレクトした商品を自分の目でチェックしなくちゃ」「デリで惣菜の味を自分の舌で味あわないと」など、壮大な野望をもって来ているのはたぶんちいさな私ひとり。大きな体のローカルたちは、みんなのんびり買い物をし、仕事の合間にぷらっとランチをとりにきている。知ってか知らずか、ときたま日本人観光客も家族で紛れ込んできたり。

デリでは、ボリューム満点のプレートランチでなく、アントレから一品とサラダを2種類選んで食べる。しばらくローカルたちが買うのを見てたら、誰も彼も必ず「サツマイモサラダ」を買うので「こりゃ特別なもんかも」と試してみる。結果。甘くてココナッツ風味。ざっついっと。おいしいけど特別なものではなかった。単純に、どこでも女性はサツマイモが好きなのかもしれない。3品のなかでは、「キュウリとハワイダイコンのサラダ」がすごくすごくすごくおいしかった。これはオススメ。

「パイナップル・ルーム」が高級レストランのディフュージョンで、さらに「マーケットプレイス」の手軽なデリも、やはり「アラン・ウォング」という高級ブランドを背負っている。使う食材がすべて「マウイオニオン」で「カムエラビーフ」とさらにブランド意識を満足させるからうけるのだ。そんなうがった見方もある。でも、それより何より、ここは「おいしい」からうける。私の舌は確信。だってうまいし。

隣のテーブルでは、偶然ここへやってきて休憩していた日本人家族が、デリのごはんとマフィン、ケーキに舌つづみ。ふと聞こえてきた言葉に、思わず笑ってしまった。

「おいしかったねー」「ほんと、おいしかったねー」「何がおいしいんだか、ぜんぜんわかんなかったけど、おいしかったねー」「そうそう、わかんないけど、本当においしかったねー」

母・子供夫婦・孫2人という構成の、3世代5人家族。もれ聞こえてきた話によると、ハワイは初めてらしい。この日本人家族の素朴な感想を、ニュアンスをそのまんま伝えられたら、アラン・ウォング本人がとても喜ぶのになあと思った。


手前は、「Kamuela Teriyaki Beef Skewers」(カムエラビーフの串焼き テリヤキソース)。ごはんがつき、このボリュームで$3.75。奥の、「Sweet PotatoSalad」(ココナッツ風味のサツマイモサラダ)と「Marinated Cucumber」(キュウリとハワイダイコンのサラダ)は、量り売りなのでお好きなだけどうぞ。基本はポンド売りだけど、中途半端な量でも問題なし。

気安くゆけるアラン・ウォンのお店

HAWAI'I REGIONAL CUISINE MAKET PLACE
(ハワイ・リージョナルキュイジーヌ・マーケットプレイス)
住所:Liberty House 4F, 1450 Ala Moana Blvd.,
tel:(808)941-2345
営業時間:9:00〜19:00(日曜10:00〜19:00) 無休

「ハワイ生まれの食材を一同に集めたマーケット」と、昨年11月、鳴り物入りでデビューしたので期待に胸をふくらませて出かけたが、想像してたよりもハワイ産の食品は少ない。それでも、ワイマナロ産の野菜、マウイオニオン、タロ芋、以前も書いたポハベリー(ほおずき)がフレッシュで売られ、食材フェチ観光客の私には胸がドキドキするスペース。デリでは、アラン・ウォンが作るレシピの惣菜がその場で食べられる。ケーキ、パン、クッキー、アイスクリームもオリジナルブランドものあり。



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