| 「亜細亜くいだおれ」 February 15,2000 | |||
| ハワイでなぜかうまいベトナム | |||
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ハワイに滞在中、必ず行く店がある。なぜだかそれはベトナム料理店。 理由は単純。安くて気軽でおいしいから。しかもヘルシー。私は無類のハーブ好きで、食事中、香菜やミントは両手にもってかじるのが理想。もちろんそれもできる。メインの品がかすむほど野菜とハーブが皿にてんこ盛り。香草やミントはど香りの強い葉っぱを大量に食べると、食べ過ぎても(ここが肝心)、あとが楽なのだ。 店主のサムさんは、ベトナム生まれの潮州人。ベトナムを出たのはもう30年近くも前で、香港などさまざまな地を経て、ハワイへやってきた。そして、母国語である潮州語、ベトナム語の他、なぜか廣東語、北京語、福建語、台湾語、英語、日本語を自在に操るのだった。 日本語は相当に上手だが、「もしかしたら廣東語のほうが得意なのかも」と、女性誌の取材で初めてお会いしたとき、下手くそな廣東語でコミュニケーションを計ろうとする私に、「廣東語を話す日本人は初めて見た」と、歓迎してくださった。 取材以来、その店はすっかり定番の一軒になった。当時から「航空会社の乗務員に人気の店」としても有名で、今もなお、店では乗務員らしき女性のグループをよく見かける。ハードワークの乗務員たちが、ハワイ滞在中の大切な一食にヘルシーなエスニックを選ぶのはしごく当然な気がするのだった。 この店で、私が特に気に入っているメニューは「揚げ春巻き」。 見た目はフツーだが、なぜか「ひと味チガウ」と、ハワイ好き友人たちの間で評判なのだ。料理の「素材当て」は結構得意なほうだが、この「揚げ春巻き」に関しては、何度食べてもわからなかった。解体して覗きこんでもだめ。 今回もやってみる。店主の目の前で「揚げ春巻き」を解体してほじほじ。でも、やっぱりわからない。サムさんは不思議そうな顔で私の仕草を見ている。どうしても知りたい。だから聞いてみた。 「なんか秘密の材料でも使ってるんですか?」。 サムさんは黙って厨房に戻ると、右手に芋のようなものを、左手にペティナイフをもってきた。芋はうすいベージュで、ジャガイモを思わせる色合い。形はぼこぼことして、なんとなく自然薯にも似ている。 芋の正体は、香港でいう沙葛(さーこっ=廣東語)だった。英語ではChop sui yam。日本語でなんというかは知らない。皮をむき、ほんのすこしナイフで削ってもらい、その場で食べてみた。しゃりしゃりした食感で、梨に似たフルーティな風味。ハワイ産のものは特に甘みが強く質がいいという。そしてその沙葛を、蝦、豚肉、タロイモに加えて混ぜ、春巻きの皮で包んで揚げる。 ようやく解明した「揚げ春巻き」の秘密。新しい食材やその味を知るのは何よりの喜び。だけど私は「まだまだ修行が足りないのだなあ」と、遥か遠い道のりを思い知るのだった。 ![]() ![]() ![]() 「ベトナム風蟹カレー」の材料の淡水蟹と、店主サムさん(上右) ラ・ユィという葉っぱを入れて炊くブロークンライス(下)
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