| 「亜細亜くいだおれ」 March 14,2000 | |||
| 台湾温泉地の絶妙地鶏スープ | |||
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以前、高雄郊外で食べた「特製チキンスープ」が忘れられなくて、家で真似して何度か作ったことがある。そのスープのための特別な調味料を、現地からたいへんな思いをして(重いというだけですが)買ってきたのだ。だから、どうにかそこそこの味にはなった。でも、やっぱり何かが違う。違う気がする。 水が違うのか、はたまた野菜か鶏肉か。とにかく、何か足りない。鶏肉の量を増やしてみたり、豚赤身肉を加えてみたり、土鍋や石鍋で遠赤外線状態にして煮込んだり。できる限り工夫した。でも、やっぱり違う。悔しいけど、あのときの味には、どうしても近づかない。工夫するほど、どんどん違うものになってしまう。 先日、台北郊外の陽明山(やんみんしゃん)で、同じレシピのスープに遭遇した。そうそう。これ。この味だ。高雄のスープに、すごく近い味がした。 陽明山は、台北市北側に位置する景勝地。山という名はつくが、特定の山ではなく紗帽山と七星山に挟まれた丘陵地を総称してこう呼ぶそうだ。温泉で有名な場所でもあり、週末になると、乳白色の硫黄泉を楽しみに台北からたくさんの人がやってくる。さらに名産物もいくつもあるという。 そのひとつが土鶏だった。噂によると、陽明山には「土鶏城」という別称があるそうだ。土鶏とは、すなわち放し飼いで育てられた地鶏のこと。そう。違った理由は、やっぱり鶏肉だった。もちろん、おいしい地鶏は日本にもあるだろう。でも、日本の鶏肉はスープにするには脂肪分が多すぎる。そういえば、香港でもスープにするときは、わざわざ老鶏という脂身の少ないものを使う。思い出した。スープ専用の、痩せて身の締まった鶏肉。 そのスープは、鶏肉とニガウリを特製調味料で煮込んだだけの簡単なもの。だからこそ、鶏肉の味がとても重要だった。シンプルなスープ。だけど、味付けする調味料が変わっていて、独特の風味をもつ。 調味料の名前は「鳳梨醤」といって、フレッシュなパイナップルと黄豆(大豆に似た豆。やや小ぶり)を塩漬けにしたしたもの。やや癖のある酸味と塩味が特徴。扇形にカットされたパイナップルは、カタチも食感もそのまま残っていて一見とても甘そうに見えるが、実際は塩味のほうがずっと強く、フレッシュパイナップルとはまったく違う、ちゃんと「漬け物」に変わっている。恐るべし、台湾の調味料。 陽明山でとれる他の名産物には、甘みが強く歯ごたえがやわらかい高山キャベツや新鮮な山菜がある。確かにうまかった。特にキャベツ。キャベツ臭いというのか、とにかく味が濃い。グルメな台北人たちにとって、自然のなかでおいしい料理を楽しめる陽明山は、たいへんに人気のある場所と聞く。いやもちろん、日本人にとってもたいへんに魅力的だった。わざわざ市内中心部から夜食を食べにやってくる人も多いそうで、それは旅行者の私にも十分うなずける話だ。 ただ、私が実際に訪れたのは2回とも昼間で、それでも結構な山奥という印象を受けた。夜食は食べたいけれど、「夜は道路も暗いし、地の利がないとちょっと怖いかな」というのが正直な感想。地元の知り合いに連れていってもらうならいいけど、夜食はちょっと避けたほうが無難かも。 ![]()
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