「亜細亜くいだおれ」 June 6,2000
メコン象耳魚の唐揚

牛嶋さんのイラスト 牛嶋 直美
ウシジマ・ナオミ

からだの組成の87%がチューカでできているちゅーか。残りの13%はタイ、ベトナム、インド料理でできてるちゅーか。
バックナンバー


ホーチミンから、クルマで南下すること約2時間。

淡水魚の養魚場を越え、田園を越え、小さな街をいくつも越えて、ミトーに到着する。ここはメコンデルタの入口。ベトナム料理は、この河の恵みから成り立っているのだ。ああ、そのルーツともいえる場所。撮影とはいえ、ここまで来られたことにひたすら感激する。

船着場から見える中州には、小さな島が4つ点在している。これからそのひとつへ向かうという。島の名前はそれぞれ麒麟(中国やベトナムでの空想上の生き物)、龍、亀、そして鳥(たぶん鳳凰)。わたしたちが上陸するのは「麒麟の島」である。

5月末の時点で、南ベトナムは梅雨。折りからの雨と風により、船は相当に揺れる。島へ到着しても船は上下の揺れを繰り返す。かなり怖い。ガイドと船頭さんの手を借りて、やっとこさ上陸。わたしは場違いにもミュールを履いてきてしまった。いつ川へ落ちてもおかしくない格好である。

島の入口はとても小さかった。しかし緑がとても深く、自然の宝庫という印象。

最初に訪れたのは、オープンエアのレストラン。フルーツが食べ放題という。テーブルに並ぶのは、パイナップル、ドラゴンフルーツ、ライチ、ジャックフルーツ、ランプータン、そしてスターフルーツ。目にはそこそこ楽しいが、どれもが甘みゼロ。

チリを混ぜた塩をつけて食べるので、まあ野菜と思えば我慢もできる。しかし日本の甘い果物に慣れた贅沢な舌には、やはりまずいものはまずい。形だけ食べたふりをして、すぐに席を立つ。パイナップルはバリのデンパサール、ドラゴンフルーツはメキシコシティ、ライチとジャックフルーツ、ランプータンは、香港のほうがずっとうまい。ただしスターフルーツだけは、ハワイでも香港でもミトーでも、どこで食べても同じ気がする。

レストランのすぐ脇には大きな水槽があって、中にはグロテスクな魚が泳いでいた。思わず撮影する。聞くと「象耳魚」(CA TAI TUONG CHIEN XU かーたいとーんちぇんすー)という。相当に珍味だそうだ。

果樹園で、レンブ、ドラゴンフルーツ、ジャックフルーツ、竜眼など、たわわに実る果実にボーッと見惚れる。舌にはまずくても、木に成る自然の姿は魅力的だ。そして、野生の空心菜が群生する様子にひたすら感激して、マビカさんで激写を繰り返す。そしてここでもベトナム人から「あなた、変わってます」と、首を左右に振られるのであった。わたし、誉められてる???

その後、ハチミツとライムのお湯割りをごちそうになり、ベトナム古典楽器の演奏を楽しみ、重さ約15キロ、長さ2メートル程度の小さいニシキヘビを体にぐるぐる巻かせてもらい、帰りはニッパヤシが茂る小川をカヌーで下る。途中から暴風雨に見舞われ、全身カッパと三度笠(?)でプロテクトしてても全身ずぶ濡れ、小舟は沈没寸前になるが、それはそれで意外に楽しめる。ディズニーランドの「カリブの海賊」も悪くないが、わたしにはこっちのほうがずっと刺激的である。

帰り道。ベトナム料理のレストランで、ミトー名物の「象耳魚」を食べる。出てきてびっくり。なんとウロコも取らず、尾かしら付きでの唐揚げ。しかもビシッと立っている。すすすすごいプレゼンテーション。

フォークとナイフを巧みに使って、ウエイトレスが魚を切り分ける。ライスペーパーに象耳魚の切り身、キュウリ、スターフルーツ(やっぱり野菜か)、生の空心菜を入れて巻き、ヌクマムに付けて食べる。

パリパリッと揚がった皮とウロコが香ばしく、身はしっとりした食感。ほのかに泥臭さは残っているが、その姿からは想像できないほど、意外に洗練された味わい。ベトナムビール「333」(ばーばーばー)が、ひたすら進む珍味なり。





フルーツ: タイソン島で食べ放題の果物たち。見た目はどれもたいへんおいしそーだけど、なぜか甘みはまったくなし。日本の甘い果物ってえらいんだなあと、遠くミトーの雨空の下で思う。

空心菜: 最初はイモのつるかと見間違うが、これはベトナムでもよく食べる空心菜。野生であっちゃこっちゃに生えてるとか。わたしは日本でも頻繁に買って食べるのでわりと日常的に感じているが、実際に野生の畑を見たのは初めて。ちょとカンドー。

小舟: この小舟に乗って、ティエン川(メコン川)の船着場まで戻る。途中暴風雨に合い、小舟は転覆寸前。おばちゃんから借りた三角形のカサと足まで覆う雨ガッパ姿で、だけど、観光小舟ツアーを続行。全身ぐっしょり。だけど相当エキサイティングなツアーで楽しい。

泳ぐ象耳魚: メコン川に生きる珍味。だけどコレだけ見ると、あまり美味しくはなさそうであります。

象耳魚: ミトー名物のごちそう、象耳魚の唐揚げ。沖縄のグルクンよりもビシッと立って出てくるので、びっくり。木製の専用台にネギ4本を立てて支える。思わずこの「魚を立てて出すお道具」を欲しくなるが、台はキュウリで代用できるらしいので今回は我慢する。

象耳魚の唐揚レストラン

TRUNG LUONG(トゥンルン)
NGA BA TRUNG LUONG
(ミトーから北へ1km。トゥンルン三叉路そば)

ミトーならではの地元料理が食べられるレストラン。入口では、かわいいニシキヘビ4匹がお出迎え。敷地はえらく広く、すべてオープンエア。川沿いの席が気持ちいい。象耳魚のほか、オススメ料理は「GA XOI MO」(ガーソイモ=地鶏のロースト)&「XOI CHIEN PHONG」(ソイチェンフォン=おもちの揚げ物。巨大な丸で出てくる。この丸は地鶏料理とセット)。これら珍味を食べるためだけに、クルマをチャーターしても損はないと思ったホドわたしには美味。

※ベトナム語の表記は、「`」「'」「^」などの表記が抜けておりますので、すべて正確ではありません。が、レストランでこれを見せれば、ほぼ理解してくれます。また、ルビはあくまで、「わたしの耳で聞こえた音をカタカナで表記したもの」で、目安としてお考えください。




before  back number list  next  new aic  home page

copyright(c) 1997-2003. USHIJIMA, Naomi all right reserved.