| 「亜細亜くいだおれ」 December 12,2000 | |||
| 焼酎鶏は酒かスープか | |||
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早朝の台北市場で、漢方スープの素を探していたときのこと。乾物屋の店先でとても気にかかる名前があった。焼酒鶏である。 それは、いわゆるスープ用にアレンジされた漢方素材の名前で、数種類の漢方薬が使いやすくパックされている。中身はすべてそう珍しいものでもない。當帰、川弓(くさかんむりがつく)、黒棗、枸杞、甘草、黄耆など、香港でよく買う鶏スープの素に似た見覚えのあるものばかりだ。でも、茨實や當参は入ってないし、すこしレシピは違う様子。そして、いや、なによりわたしはその名前が気になって仕方がないのだった。 台湾人の李さん聞くと、それは「しょーちゅーけー」といい、温泉の後で食べる鍋物とのこと。そして「なんだ、そんなもん食べたいの?」と笑った。 どうでもいいことであるほど、とことんこだわる性質である。これは性分だから仕方ない。とにかくずっと、焼酒鶏のことばかりが頭に焼き付いて離れないのだ。けど、どうやって食べられるのか皆目わからない。それでもどうにか食べたい。食べたくてたまらない。すると、見かねた李さんが、家でソレをごちそうしてくださることになった。 すこし早めに家へお邪魔して、作り方を教わることにした。焼酒鶏は、水を使わず米酒だけで煮込む鶏鍋料理。食べるとき、火をつけて酒を燃やすのでこの名前がついた。とにかくワイルドである。 この料理を普通に出している百里香小吃店の主人の話では、もとは屏東の料理だったとか。温泉に入った後で食べる鍋料理として人気を呼んだそうだ。テーブルの中央に置かれる鍋いっぱいに火がボーボーと燃えて広がるため、宴はとにかく盛りあがり、食事中の話題には事欠かない。ただし、危険なのも事実。実際、天井の低い店でこの料理を出して、火事になったという笑えない話もあるのだ。 味のほうは推してしるべし。なにしろ全部が酒なのだ。燃やすことで余分なアルコール分を飛ばしているとはいえ、酒の弱い人にはやはりすすめられない。もちろん未成年も禁止である。 さて。この日ビールとワイン、紹興酒を飲みながら焼酒鶏を楽しんだわたしたち。どこからが酒でどこからがつまみか、途中からよくわからくなっていた。毎日寝不足だし、明日の取材にも影響があったら困るし。そんなことを考えながら食べるのも癪に障るが、やっぱ仕方ないよなあ。仕事だもんなあ。明日も早いもんなあ。食べ過ぎたらやばいよなあ。気にはしながらも、それでも食べた。とにかく食べた。スープも飲んだ。酒だけど。 酒に、酒で煮込んだ鶏肉、さらに酒スープにと酒づくし。もうどうとでもなれという感じ。酒の弱い友人たちは、さっきからなぜかとても無口になっている。 唯一、一緒にテーブルを囲んでいた李家のおじいちゃんが、紹興酒片手に「わたしにすこしスープをもらえるかな」と、お代わりしていたのが印象的だった。うれしそうに、スープをずずずとすすっている。それはそれはおいしそうだ。「でもそれ、スープというよりお酒ですよね」というと、おじいちゃんはヘヘヘと笑った。 ![]() ![]() ![]() 写真上左から右下へ。燃える焼酒鶏。鍋一面から火が上がるので、結構な迫力。これでホントに火事を出した店もあるという。自分でやるなら必ず天井の高いところで、とにかく火には十分気をつけてやってください。 暗くして写真を撮ってみた。これがまたさらにイベント感を増して盛りあがる。 台湾の庶民の酒、米酒。料理には欠かせない調味料のひとつでもあり、焼酒鶏にはこれを3本たっぷり使用。つまり酒鍋。 地元っぽい雰囲気を楽しみながら焼酒鶏が味わえる、百里香小吃店。 家でやってみたい人は、焼酒鶏の素をどうぞ。使う漢方薬がセットで入っているので、簡単にできる。台北市内のコンビニで1箱50元で購入。大きめの鍋でやるなら、これが3箱必要。 李さんの奥さんお手製、焼酒鶏のタレ。鶏肉を、このタレにつけて食べる。唐辛子、ニンニク、ネギ、ショウユ、ごま油、コリアンダー、そして黒酢を少々。
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