| 「亜細亜くいだおれ」 March 6,2001 | |||
| おやつは魚団子 | |||
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旺角(うぉんこ=モンコック)の弼街(ばっがい=ブートストリート)と聞いて、「お!」と思わず反応してしまうあなたは香港のおやつ好きにもほどがある。 正確にいうと、その店は花園街(ふぁーゆんがい)と弼街の角にある。屋号かどうかそれは今だに不明だが、看板には「真知味(じゃんちーめい=ホントにうまいことで有名!)」の文字。店先では屋台風に魚旦が売られ、いつでもそこは黒山の人だかりである。この魚旦(ゆぃだん)は「魚団子」のことで、香港人の大好きなおやつである。 関東出身のわたしにとって、魚団子といえばイワシのツミレ。しかもイメージするのはおでんの具。つまりどちらかというとおかず的立場。だけど、香港では魚団子といったらまずおやつを思い浮かべる。さらにそれは川魚団子である。鯪魚(れんゆぃ)というコイ科の魚が、魚団子の材料となるそのミンチの正体だ。 旺角あたりで「腹減った」と思えば(いつもだが)、自然と弼街へ足が向く。店で言葉はいらず店員に小銭を渡すと、よどんだスープに魚旦を入れて数秒間温め、目の前の皿にのせてくれる。客のわたしは魚旦の串の端を持ち、そしてむぐむぐと歩きながら食べ始めるのである。このとき「要辣」(いうらっ)といえば、辛いカレー風味のソースにボッチャンと一度つけた後で皿にのる。そしてわたしの好みは、いつでも「要辣」である。 そのおやつ風景は、これまで日々たいへんのどかに繰り返されてきたが、最近この古い古い魚団子屋さん(※以下舊店)の周辺が慌しくなってきた。強力な、ライバル店が現れたのだ。 しかも、花園街をはさんだ真正面の角にその店はオープンした。名前を花園街小食(ふぁーゆんがいしうせっ ※以下新店)といい、後から出来ておきながらまるで「花園街の名物」的印象。 「ちょっとおもしろくないかも」 という意固地な感想はわたしのものだが、舊店にとっても新店オープンは、どう考えても歓迎できるものではないはず。新店の黄色い看板は派手に光って行列が並び、いやがおうにも舊店の厳しい現実を物語っていたからだ。果たして舊店の巻き返しはなるのか。瞬時にそんな余計なお世話を考え、両方の店の魚旦を食べ比べてみる。味は結構違った。 新店の魚旦は団子の直径がやや大きめ。さらに食感はちょびっとやわらかい。川魚の癖は、こっちのが少ないかもしれないが、個人的には小ぶりな舊店の魚旦が好き。固くしまった食感と、ソースの風味にコクがあるからだ。けど、やはり「大きさ」は客にとってかなり魅力があるらしく、その日新店の行列は絶えなかった。香港人に意外と新しモノ好きが多い、というのもその行列の理由に挙がるかもしれないけれど。 ジツはさっき「腹減ったあ」と仕事中につぶやいたら、知人から「おやつおやつ。アイスクリームとケーキを食べましょう」といわれて、思い出したのだった。そんな弼街のコト。 心ひそかに旺角の店を思い浮かべながら「あー魚旦食べたい」と考えていたわたしは、あわてて「そ、そうだね」と口をつぐんだのである。「おやつに魚団子」は、日本じゃあまり一般的ではないのかも。いきなり説明してもわかってもらえないかも。 だ、だよね。そりゃー仕方ないか。うう。 ![]() ![]() 写真上右から左下へ、 羅富記粥麺専家の小欖炸魚球。揚げたてあつあつを、小皿の蜆介醤につけて食べる。団子にもタレにも、たっぷりと癖があって美味。 花園街小食の魚旦。まっすぐ刺さってないとこがアート。辛いソースがややこってりしてる。 魚旦を買うと、ソースにつけてもつけなくてもこのように置かれるので、多少はどれも辛くなってしまう気がする。
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