| 「亜細亜くいだおれ」 April 3,2001 | |||
| 香港式風邪の治し方 |
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昨年暮れの香港。早朝に目が覚めたら、喉が痛くてツバも飲みこめない。やばい、風邪をひいた。いや、この痛みはインフルエンザかもしれない。 旅が多いからこそ、現地滞在中の環境の変化にはあえて毎回とても気をつける。サプリメントや薬も、だから常時お気に入りを携帯。例えばわたしのお薬セットに入っているのは、免疫力を高めるプロポリスと金銭蓮茶、殺菌力が高いティーツリーオイル、うがい用イソジンもしくは塩、日本製の総合感冒薬、整腸剤など。これらは、必ず持参するようにしている。 はずだったのだ。ところが、忙しい台北取材が一段落した直後の香港滞在で、どうもすっかり油断していたらしい。今回に限って、お薬+予防セット一式を忘れてしまった。代わりに巾着袋に入っていたのは、日よけ+美白グッズだった。これは南の島セットじゃん。まったくもー、だいたい不調になるのは、そんなときなのだ。しかしタイミングわるすぎ。 体はかなり熱っぽい。まだ仕事が残ってるし、このままではまじやばい。仕方なく、滞在先である温家のママの元へ急ぎ、困った顔で「喉朧痛。我可能係感冒(はうろんとん。んごぉ ほうなん はい がんもう=喉が痛ーい。風邪ひいたみたいなんだけど)」と訴える。自分でどうしようもないときは、現地式に限る。これもある意味わたし的旅のコツだ。それに、やばかったら医者へ連れていってもらえばいいし。ところが、ママはいきなりとんでもないことをいいだした。 「飲鹹水(やむ はむそい=塩水を飲みなさい)」。 「は」。言葉に詰まる。聞き間違い? しかし、ママはあわてて大ぶりのマグを戸棚から出して塩を山盛り入れ、ポットからお湯を注ぎはじめた。 たっぷりの塩水が入ったマグを手渡され、あわわと戸惑うわたし。うーん。どう考えてもヘンだ。もしかして、ウガイの間違いかも。けど「ウガイ」なんて廣東語はわからないしな。仕方なく知ってる単語だけを繋ぐ。 「真係全部飲呀?(じゃんはい ちゅんぼうやむ あ=ホントに全部飲むの?)」。怪訝そうに訪ねると、ママは「当然(とんいん)」というので、仕方なく覚悟を決める。げげ。しょ、しょっぱい。そりゃ当たり前か。温かい塩水、それは飲みにくくてたまらなかった。ちびちびと、だけど全部飲む努力をする。うがががが。 なかなか飲みきれない塩水マグを見つめながら「これにはどういう意味があるのだろう」とボーっと考える。体液に近い水分をいっぱい取るのがいいのか。いや、それにしちゃ塩味が濃すぎる。起きてきた友人にさり気なくその意味を聞くと、「喉が腫れているときは体に熱を持っているので、とにかくその熱を下げることが大切。だから塩水を飲む」のだといわれた。そうか。そうなのか。まだまだ深いぞ香港。 以前ハワイで、日系二世の知人から「熱があるなら、水風呂に入りなさい」といわれてびっくりしたことがある。また、中国人の中醫(漢方医)からは「風邪には喉が腫れて熱がでる『熱の風邪』と、寒気がして鼻水が垂れる『寒の風邪』の2種類があり、前者には銀翅散、後者には葛根湯を処方するのだとも聞いた。台湾では咳をすると、すこし酸味のある烏梅を食べさせられた。 香港では、この塩水の他に、咳が出るときはオレンジ(果物)とオレンジジュース、揚げもの、甘いもの、冷たいもの、辛いものすべて禁止される。また、風邪は「うなじと足首」からひく(風邪の邪気がその部分から入りこみ、体に「風」が溜まると風邪をひくと考えられている)ため、胸ぐりが開いた服と裸足は禁止される。 最初こそ戸惑ったが、だいぶその考え方を受け入れられるようになった。オレンジジュース以下、食べ物に関しては、風邪で喉が腫れているときこれらを控えることで本当に症状が軽くなった。 結局暮れにひいた風邪は、その後仕事でインタビューした香港在住の日本人中醫から、「葛根湯を飲んで、足湯して温まって寝なさい」といわれ、その通りにしたらびっくりするほど熱が下がり、医者へ行かずに治ってしまった。 ママはそれでも陰ながらずっとわたしを心配していて、飲茶に出かけたとき、下町の路地裏で野菜売りのばあちゃんが売っていた白欖(ぱっらむ=黄緑色の木の実。日本語は不明)を買ってくれた。喉にいいとのことだった。そのやさしさにうるうるしながらかじったら、とてもシブく、ひどくまずかった。
![]() ![]() ![]() 上左から、白欖はこうしてザルに広げて売ってました。 かじりかけの白欖(ぱっらむ)。漢字から考えるとオリーブの一種かも。味はシブまず。 華健堂の店先。涼茶(りょんちゃ=漢方茶)も飲める。デザートは店内のテーブルで。 「糖不甩(とんぱらっ)」というかわいい名前の白玉だんご。この店のはゴマあん入り。
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