| 「亜細亜くいだおれ」 May 1,2001 | |||
| ブタハチ麺? 違うって |
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香港の麺専家(みんちゅんがー=麺専門店)で、好きなメニューのひとつに「豬扒麺」(じゅーぱーみん)がある。 それは日本でいう「排骨麺」(パイコー麺)によく似たメニューで、カレー風味のスパイスで味付けした骨付き豚スペアリブを、香ばしくカラッと揚げてスープ麺の具にしたひと品。熱々の豬八にハフハフいいながらかみつき、ずずずずと麺をすする楽しみは、想像しただけでなんともしやわせである。ああ。 豬扒麺の豬扒は、別の言い方で「炸排骨」(じゃーぱいぐゎっ)という。もともと豬扒は揚げた豚肉の総称であるから、例えば日本のトンカツも廣東語では同じ呼び方になる。 それでも豬八麺の豬八は、トンカツではなく炸排骨なのである。じゃあ「豬扒麺」よりも「炸排骨麺」(じゃーぱいぐゎっみん)、あるいは日本と同じように「排骨麺」(ぱいぐゎっみん)のほうがわかりやすいじゃん。 だったらそう呼べばいいじゃん。と思うのだが、それはどうも日本人に都合がいいだけの発想のようだった。あくまで香港的常識で、その名前は豬扒麺なのだという。考えれば考えるほどややこしい問題である。 日本ではラーメンを「食事」として考えるわたしも、香港の雑踏になじんでいるうち、麺を一食の食事としてカウントすることがなくなってきた。どちらかというと飲茶後のおやつ、あるいは寝る前の夜食である。 香港の麺が、わりと小ぶりのお碗で食べることがその理由のひとつ。そしてまた、あくまで個人的な理由をつけるとすれば、わたしが居候していた香港人家族の食習慣に、その秘密の一端はある。 毎日通うレストランでの飲茶が問題なのだ。 たいていの場合、家族や親戚が、時間差で全員集まるまでだらだらと點心(でぃむさむ)を食べ続け、さらに喋りたおす。飲茶の目的が、「食べる」より「集う」ことにあるからだ。 もちろん意地汚いわたしは、それでも食べることに専念する。しかもほとんど最初から最後までどっかり席についているものだから、人数が多いときなど約2時間を店で過ごすことになる。 目に見えるものはなるべく食べたいし、廣東語もそんなにわかるわけではないから、家族から声をかけられない限りあまり会話にも参加しない。食べるペースも自然と早くなり、誰よりも先にお腹がいっぱいになる。それが何を意味するかというと、みんなが食べ終わるころには振り出しに戻り、すっかりお腹がすいてしまうのだ。 そこで、おやつを食べることになる。 レストランを出て、すぐおやつを食べに直行すると顰蹙なので、たいてい3時くらいまではじっと我慢。そのうちお得な下午茶(はーんーちゃー ※アフタヌーンティーのこと。だいたい午後2時〜5時)が、あちこちの茶餐廳(ちゃーちゃんてん=香港式喫茶店)や麺専家で始まるのだ。 例えば小ぶりの器で食べる麺、あるいはフライドチキン感覚の炸鶏翼(じゃーがいいえ ※揚げた鶏手羽先)に、好みのドリンクと油菜(やうちょい ※湯通しした青菜にオイスターソースをかけたものであることが多い)がつき、セットで30香港ドル(約450円)程度。目も懐もお腹も大満足のおやつタイムである。たとえ腹ぺこでなくても、こりゃー食べなきゃ損だろう。 大好きな豬扒麺を、あえて食事でなく、アフタヌーンティー(おやつ)の一環として脳みそが認識するようになった顛末が、これ。要するに、香港人家族のせいじゃなく、意地汚い自分のせいなのだった。他人のせいにして申し訳ない。 麺=おやつ、と脳が今も認識してしまっているので、「麺を食べた後夜ごはん」とか、「夜ごはんを食べた後に麺」とか、その困った習慣は日本に戻ってからもごく当たり前に続いている。食欲をセーブするうまい方法、何かないのだろうか。もしもどなたか知っていたら、ぜひ教えてください。 ※注・ちなみに「八麺玲瓏」の丼は、小ぶりでなく大ぶりです(→それでもおやつ)。
![]() ![]() 八麺玲瓏では、野菜が少し入ったスープ麺と豬扒が別々の器で出てくる。このまま別々に食べてもいいが、上にのせて一緒に食べるとより美味。 例えばわたし的食べ方は、まず熱々のうちに野菜と麺とをよく混ぜ、おもむろに豬扒を麺の上にのせる。さらに箸の先でぎゅぎゅぎゅっと押しつけ、スープをしみしみさせて準備完了(右の写真)。あとはお好きにどうぞ。 ※カッコ内の読み仮名は、わたしの耳に聞こえた香港の廣東語の音をひらがなで表記したものです。発音にお詳しい方で、多少の違和感を感ずる場合もあるかと思いますが、その点はご容赦くださいまし。
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